CNCフライスに掃除機を接続する

経緯

NCフライスで木材を加工する際,大量の粉じんが舞い,ワークのみならず工作機械全体に木くずが付着する.工作後に,掃除機で吸い取れば問題ないが,現在,コンセント分岐のタップを工作空間内に設置しており,粉じんが舞うのは爆発を引き起こしそうでちょっと怖い.
現在構成で切削液を用いた加工はできるが,木材の加工には使用できない.幸い,壊れかけた掃除機があるので,これを流用して工作中に粉じんを吸い取れるようにする
f:id:sosoru_m:20170225230239j:plain:w300

補足情報

リモコンのソフトウェア等について
sosoru.hatenablog.jp

配管図

f:id:sosoru_m:20170225230945p:plain:w400

材料等

ほとんどはミスミで購入可能だった.購入履歴が消える前に,備忘録として記入する.

- 掃除機型番 日立 CV-W65
- リモコン用アルミ箱 タカチMB-3(高さ60mm 幅90mm 奥行き125mm 板厚1mm)
- ホース1 十川産業 SP-19-3(呼び内径:19mm 外径:26mm )
- ホース2 掃除機付属ホース流用
- T字バルブ 東洋バルヴ RB-3N-32A (3方向分岐 径:1 1/4B(32A))
- ホース用継ぎ手 リガルジョイント TH19-3/4-B-N(ホース内径:19mm 接続ネジ:3/4B)
- ねじ径変換用継ぎ手1 ミスミ SGPPB610 (1 1/4B → 3/4B)
- ねじ・配管変換用継ぎ手2 アロン化成 TS-VS-30 (ねじ 1 1/4B → 配管外径38mm) 
- ニトムズ ホーステープ(継ぎ手とホース接着用.スーパーに売っていたやつ)
- 赤外線リモコンキット BitTradeOne USB接続 赤外線リモコンキット
- 長めのタイ,ネジで止められるタイ(ホームセンターで売っていた汎用品)
- 両面テープがついたアルミの配線固定具(汎用品)

その他:
- エアフィルター エスコ EA997PE-6 (掃除機の交換用フィルタ)
- クーラントプライナー MSTコーポレーション PL6-1 (クーラントのプライヤー.高いけど,これ無しでは配管接合できなかった)

流れ

1,掃除機のリモコン基板の修繕

基板が真ん中から割れており,修理が必要.片面一層基板だから,配線を修復するだけで復活する予定だったが,IC側が故障しているようで,別途,購入した赤外線リモコンキットで代用した.
f:id:sosoru_m:20170225231819j:plain:w200
▲真ん中から割れてるので配線修復した状態.

2,リモコン設置用の箱の加工.

【表】
文字は主軸回転数20000[mm/min] F100[mm/min] φ0.5mmのボールエンドミルで加工.
ホールは主軸回転数20000[mm/min] F200[mm/min] φ2mmのスクエアエンドミルで加工.
バリ取りは主軸回転数20000[mm/min] F100[mm/min] φ2mmのスクエアエンドミルで加工.(中止)

【側面】
赤外LED設置のためφ5mmの穴を開ける.
f:id:sosoru_m:20170225235855j:plain:w200
▲文字の部分のバリがひどい.浅い加工であっても,ボールエンドミルを一発目で使うのは良くない?

2-1,箱を加工したあと,被加工部にはバリが多く出てくる,これをリューターとオービタルサンダーで取り除く.(ただしこれはちょっと失敗)

f:id:sosoru_m:20170225235814j:plain:w200
▲完成時の状態.文字の部分のバリ取りを行ったが,アルマイト塗装が剥がれたらしく,とても汚い仕上がりになった.

3,掃除機と工作機械を接続

接続のために塩ビ管の継ぎ手を使用する.掃除機側のジャバラホースは外径38mm程度で,呼び径1 1/4とだいたい等しい.
(実は呼び径よりもホースが若干太い.切れ込みを入れてねじ込んだ後,ホーステープで漏れが無いように固定する.)

f:id:sosoru_m:20170226000110j:plain:w200f:id:sosoru_m:20170226000128j:plain:w200
▲バルブ付近の写真.下から来ている透明なホースがNCフライスに繋がっている.(もう一端は手動掃除用ホース)
奥側に掃除機が接続されている.固定はアルミフレーム用ナットのネジとタイで固定.
実はホース用継ぎ手にホースが微妙に繋がっていない.ホース内径が適合していても,吻合しない場合があるらしい.ホースが抜けないようにタイで固定している.

ちなみに,バルブからNCフライスまでは呼び径3/4のホースを使用する.設置計画の関係で30mm以上の管を通したくないためである.
この影響で,ホースとバルブの継ぎ手では1 1/4から3/4に径を変更する必要がある.この用途では,黄銅製のブラケットが存在しないので,亜鉛メッキの鋼鉄製ブラケットを用いた.

3-1,集塵用配管を設置する.

f:id:sosoru_m:20170226000014j:plain:w200f:id:sosoru_m:20170226000032j:plain:w200
▲NCフライス回りにはタイを使って何とか這い回せる.エンドミル付近のホース端はクーラントホースで固定する.実際の所,先端の固定が難しく,ちょっと使いづらいので何とかしたい.

4,動作確認,MDF板の面取り切削でキチンと集塵できているか確認する.

f:id:sosoru_m:20170226000206j:plain:w200f:id:sosoru_m:20170226000224j:plain:w200
▲切削中の様子と切削直後の状態.大きな木片は残っているものの,粉状の切削片は吸い取られており,効果を確認できる.

動作

動作音はNCフライスの切削音よりも体感的にはうるさい.木製のドアを隔てて数m離れた場所でも騒音を聞き取れる.将来的にフライスが置いてある棚に防音扉を設置すれば,騒音が大きく軽減される見込みである.
MDF板の面だしのような,表面薄く削る作業では非常に効果が大きく,大きな木片は吸い込めないものがあったが,粉じん状のゴミは見当たらなかった.
しかし,板を深く切削する場合には効果が低い.エンドミルが板に深く入るため,集塵ホース端を高く設置する都合,効率よい集塵が行えないためで,切削パス周辺に多くの粉じんがたまる.ただ,NCフライスに付着するような粉じんはある程度吸い込めるので,ないよりはマシである.
板上の粉じんは他方のバルブにつないだ手動掃除用ホースで容易に吸い込めるので,併用すれば問題ない.
総合的には,掃除機システム設置の効果は非常に高く,切削作業に欠かすことはできないシステムである.