0.5mm厚アルミ板の切削(熱収縮チューブ用ヒートガンの治具)

概要

ヒートガンで50mm径以上の熱収縮チューブを加熱するために,0.5mm厚のアルミ板を切削して治具を作成した.(市販の治具は最大45mm径までで,径が足らないので)
アルミ板をT字型に削り出して,適当なビンで丸みをつけて形を作る.ふにゃふにゃで頼りないけど,太い熱収縮チューブを縮める役目はちゃんと果たしてくれた.
f:id:sosoru_m:20170324193449j:plain:w200f:id:sosoru_m:20170324193544j:plain:w200

切削条件

主軸回転数S10000rpm,送り速度F75mm/min,Z方向切り込み0.1mm/パスで,0.5mm厚のアルミ板を切断する.この条件は,エンドミルの推奨切削条件の各パラメータの比率を参考に,切削部の過加熱を防ぐために主軸回転数を落として決定した.
切削対象には霧吹きで定期的に水溶性切削油をかけておき,エンドミルへのアルミ材溶着を防ぐ.
エンドミルはミスミの(XAL-PEM2S2)を使用する.
ワークへの固定は0.8mm厚の両面テープを用いる.Z方向のズレは不問とする.

流れ

最初はS20000・F150・Z切り込み0.5mmで試みたが,どうやらエンドミルにアルミ材が溶着し,切削性能が落ちたようで,切断面のバリが非常に多く出ていた.
f:id:sosoru_m:20170324194721j:plain:w200

バリを防ぐために条件だしを行い,Z切り込み量を減らしたが,0.05mm/パスでも効果はなかった.10mm程度の直線部であっても,1〜2mm削ったところで大きなバリが発生する.
主軸回転数を落とし,S2000・F15・Z切り込み0.1mm/パスで切削して,ようやくバリの減少が見られた.ただし,これでも完全にバリがなくなった訳ではなかった.
f:id:sosoru_m:20170324194047j:plain:w200
↑条件出しで使った板(上:F15 下:F150).上のパスは裏に両面テープがあって削りきれていない.

最終的には切削油を垂らさなければ,目立ったバリをなくすことはできなかった.最終的に,S10000 F75 Z切り込み0.1mm/パスで決定.
f:id:sosoru_m:20170324194633j:plain:w200

設計と成果物

成果物は設計寸法と比べて0.1mm程度短い.これは,アルミ板が撓んだ状態になったままワークに固定され,斜めに板材が切断されたためと考えている.ワーク固定時に少し撓んでいることは目視で分かっていたが,切断目的で削っているのでZ方向の歪みは不問としていた.Z方向の歪みはXY方向にも意外と効いてくるらしい.XY方向もシビアな長さ制約はないので,このまま成果物を使用する.
以下,OpenSCADのコード(後処理で角をR=1mmで丸めている):

L1 = 31 * PI; // ヒートガンのノズル径の円周
L2 = 60 * PI * 0.6;  //引き出す板の長さ,チューブの円周長さー余白

s1 = 6;    //板を曲げる起点の長さ
s2 = s1/2;

Wg = 15;    //ヒートガンノズルの幅
Wn = 20;    //引き出す板の幅

module p() {
    polygon(points=[[L1/2,0],[L1/2,Wg],[Wn/2, Wg],[Wn/2,Wg+s1+s2+L2],[0,Wg+s1+s2+L2],[0,0]]);
    
    polygon(points=[[Wn/2, Wg+s1],[0, Wg+s1],[0, Wg+s1+s2],[Wn/2, Wg+s1+s2]]);
    }

union(){p(); mirror() {p();}}