VCarveのモデル位置決定の罠(?)

はじめに

VCarveでは,Z軸方向に対するモデル位置の決定に2つの変数を用いる.
位置決定には2通りの組み合わせがあるが,両者の生み出す切削パスは異なる.
以下の目的によって,組み合わせを絞り込めばよい:

  • 端部を縁取りたい,など,通常の場合:

①にてモデルをゼロ平面より上に設定する

  • 表札のように,モデルを沈み込ませた図形を彫りたい:

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①にてモデルをゼロ平面より下に設定する
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記事を書いていて分かったけれども,両者のパラメータは連携しているらしい?事実上,①のみ変更すればいい気がする.

VCarve Proの見えない平面について

VCarveでは一つだけ3Dコンポーネントを読み込むことができる.
ただ,読み込み時に2つのモデルゼロ平面座標を考慮する必要がある.

①モデルのゼロ平面設定
読み込まれたモデルデータのZ座標のオフセット量.切削の都合で,どこから上の形状を使用するかを調整する際に使用する.モデルが読み込まれたときにスケーリング倍率と共に設定できる.

②素材内部へのゼロ平面設置座標
読み込んだモデルのゼロ平面と,素材中の座標と対応づけるオフセット量.既定では素材中央となっている.切削パスの設定で一度設定するのみ?モデルが読み込まれたときに聞いてこない量.

2変数を設定してモデルと素材形状の位置を決める.どちらもZ軸に対するオフセット量で,2変数であることから,モデル位置の決定には解が2通りありそうに見える.実際,Z軸位置とモデルの対応は取れるが,両者の切削パスが異なる場合があるので注意が必要.
特に,角を面取るような,Z軸方向ベクトルに近い形状を刈り込むと,切削パスが描画されない組み合わせがある(パスが描かれないところはプレビューで緑色に表示される)

②の素材内部のゼロ平面の中に,モデルが沈み込むような設定をすると,②で設定されたZ座標に対応した平面が「崖」のような働きをする.このとき,外周部がZ軸方向ベクトルに近いと境界部が急峻な形状となって,太さを持つエンドミルが刈り込むことができない.これが切削パスの異なる原因である.

注意すべきは,②で設定された平面は素材の大きさによらず発生することで,板の端部を縁取るような目的の場合,素材サイズと3Dモデルが同じにしたいが,モデルがゼロ平面に沈むように設定すると,「見えない平面」に阻まれて切削パスが生成されない.
さらに,モデルが①のゼロ平面より上である場合と,両者の見た目が変わらないので,切削パスが生成されない原因の追及に時間を取られる.